虫歯のなり始めは削って治した方がいいのでしょうか? 初期虫歯の治療についてご説明します。
ごく初期の虫歯は削らない場合もある
虫歯になり始めの初期虫歯は、削らずに治す場合もあります。C0と呼ばれる初期虫歯は、要観察歯で、虫歯の一歩手前と見做され、削ったり詰めたりする治療を行いません。
この段階では、ご家庭での歯磨きを正しい方法で行うことで、進行を食い止めることが可能です。更に、エナメル質が僅かに溶けている「脱灰」と呼ばれる段階であれば、唾液の「再石灰化」作用によって、自然に治ることもあります。
初期虫歯は削らなくても「再石灰化」で治るの?
虫歯は基本的には自然に治ることはありません。しかし、エナメル質が細菌の出す酸によって僅かに溶かされただけの初期虫歯に関しては、唾液の持つ「再石灰化」という作用によって、自然修復される場合があります。
再石灰化のメカニズム
再石灰化とは、歯を初期虫歯から守るための、唾液による自然治癒のメカニズムです。お口の中が飲食によって酸性に傾いたり、細菌の出す酸で歯が溶かされると、歯からミネラルが失われ、初期虫歯と呼ばれる状態になります。これを「脱灰」といいます。
初期虫歯に対して、唾液がカルシウムイオンとリン酸イオンを補給してエナメル質を修復することを、「再石灰化」といいます。
お口の中では常に「脱灰」と「再石灰化」が繰り返されています。
再石灰化を促す方法は?
再石灰化を促し、脱灰を修復するには、まず歯に付着した歯垢を歯磨きできれいに取り去ること、唾液を十分に出すことが重要です。
フッ素含有歯磨き剤や、薬用ハイドロキシアパタイトを配合した歯みがき剤を使用することで、歯の再石灰化を促進することが出来ます。
また、就寝中は唾液の分泌量が減って、お口の中で再石灰化が起こりにくい状態になりますので、就寝前に歯磨きをし、その後は飲食しないようにしましょう。
初期虫歯は痛いの?
初期の虫歯は痛みを感じないことが多いです。虫歯は細菌による感染で起こり、細菌の出す酸が歯の表面のエナメル質を溶かしていきます。
初期虫歯は、歯の内部の歯髄(神経、血管のあるところ)まで達していないため、痛みを感じにくいのですが、そのまま細菌が繁殖して増え続けると、穴がどんどん深く大きくなっていきます。
初期虫歯には歯の表面が白くなったり、茶色い汚れが見られることがあります。この段階では歯を削らなくても自然に治ることもあります。
初期の虫歯は削って治した方がいいのかに関するQ&A
初期の虫歯は痛みを感じないことが多いです。虫歯は細菌による感染で、歯の表面のエナメル質を溶かす酸が原因です。初期虫歯では、まだ歯の内部の歯髄(神経、血管のあるところ)に達していないため、痛みを感じにくいです。ただし、放置すると進行し、痛みが出る可能性が高くなります。
ごく初期の場合は、歯の表面が白くなったり、茶色い汚れが見られることがあります。この段階では、歯を削らずに自然に治ることもあります。
はい、初期虫歯(C0と呼ばれる段階)は、削らずに治る場合もあります。この時期は要観察歯とされ、削ったり詰めたりする治療を行わない場合があります。適切な歯磨きと再石灰化作用によって自然治癒される可能性があります。
まとめ
初期虫歯であれば、削らずに唾液の再石灰化作用によって自然に修復されるのを待つ場合があります。しかし、歯に穴が空いてしまった場合は、再石灰化では治りませんので、削って詰める治療を行う必要があります。
初期の虫歯に対する治療方法については、以下の2つの論文が参考になります。
1. 【Anusavice (2005)】は、現代および将来の虫歯管理方法について述べており、最小限の侵襲的治療アプローチを支持しています。この研究では、伝統的な「削って、詰めて、請求する」という歯科治療がまだ広く行われていることが指摘されており、早期の虫歯をフッ化物処理によって防ぐことや、発生した初期の病変を経過観察することが推奨されています。
2. 【Bounds & Girkin (2021)】によると、初期の虫歯は「削って詰める」治療法よりも再石灰化などの非侵襲的治療法で治療できる可能性があります。この研究では、初期の虫歯を白い斑点として検出し、非侵襲的な方法で治療するための技術が提案されています。
これらの研究結果から、初期の虫歯に対する治療として、伝統的な削る方法よりも、フッ化物処理や再石灰化を含む最小限の侵襲的アプローチが推奨される可能性が高いことが示唆されています。