歯周病

生活習慣によって歯周病のリスクが増すの?

生活習慣によって歯周病のリスクが増すの?

なんばクローバー歯科 歯科医師 共田 京太

歯周病にならないようにするためには、毎日丁寧に歯を磨いて歯に歯垢を残さないことですが、それだけでなく、毎日の生活習慣も大切です。

生活習慣による歯周病のリスクとは?

生活習慣が歯周病のリスクに与える影響はかなり大きいです。歯周病予防のためには以下の点を考慮すると良いでしょう。

1. 歯磨きがきちんとできていない

歯磨きを怠ったり、磨き方が甘いなどは、口の中のプラーク・歯石をますます増殖させます。適切な歯磨きで毎日清潔にしている人・定期的に歯のメンテナンスに通っている人などは歯周病になるリスクも低くなります。

2. 喫煙

喫煙

タバコを吸う人は、吸わない人よりも細菌に対して抵抗力が弱くなります。
そのうえ、タバコに含まれるニコチンが血管を収縮させ、歯ぐきから血が出にくくなるため、症状に気づきにくいというリスクもあります。喫煙者の中には食い止められたかもしれない歯周病になるケースが多々あり、タバコをやめると歯周病になるリスクが40%減るといわれています。

3. ストレス・疲れ

心がストレスを抱えていたり、疲労を溜めていたりすると、どんな人でも免疫力が下がり、細菌に感染しやすくなります。十分な睡眠をとって、ストレスや疲労を溜めない健康的な生活習慣を心がけましょう。

4. 不健康な食生活

ビタミンやミネラルが不足すると、歯肉の健康が損なわれます。特にビタミンCの不足は歯肉炎を引き起こす可能性があります。様々な食材を取り入れてまんべんなく食べるようにしましょう。

5. 飲酒

過度のアルコールも口腔内の細菌バランスを崩し、歯周病のリスクを高めることが知られています。飲酒は量が多くなりすぎないようにしましょう。

6. 定期的な歯科健診

定期的な歯科検診とプロフェッショナルなクリーニングを怠ると、歯垢や歯石が蓄積して、歯周病を引き起こす原因となります。数か月に一度のペースで定期健診を受けるようにしましょう。

これらの生活習慣を見直し、改善することで、歯周病のリスクを軽減できます。定期的な歯科検診と共に、日常生活での口腔ケアを心がけることが重要です。

歯周病の3つの要因とは?

歯周病の3つの要因

歯周病にかかりやすくなる主な要因は3つあります。

  1. 細菌の要因・・歯垢、歯石
  2. 生体の要因・・体の状態(持病、遺伝など)
  3. 環境の要因・・歯周病が起こりやすくなる生活習慣

これら3つの要因が揃うと、最も歯周病にかかるリスクが高まります。これらの要因は、身体の免疫反応とも深く関わってきます。

歯周病予防のためにはまずプラークコントロール

プラークコントロール

歯周病の直接の原因は歯垢(プラーク)の中に棲む細菌です。歯垢は多種類の細菌の塊で、バイオフィルムとも呼ばれます。歯周病菌は嫌気性といって、酸素の少ない場所に入り込みます。そのため、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)は、歯周病菌にとって格好の住処となります。

歯周病菌は毒素を出して歯周組織をどんどん破壊していき、歯周ポケットがより深くなっていきます。歯垢や歯石を除去する治療を行わなければ、歯周ポケットの中で歯周病菌は増殖を続けて、やがて歯茎が歯を支えられなくなって歯がグラグラになって抜けてしまいます。

そのため、歯周病治療・予防のためには、いかにお口の中から歯垢や歯石を減らして、細菌の数を減らすかというプラークコントロールが重要になります。セルフケアで取れない部分の歯垢や、歯ブラシで落とせない歯石は、歯科医院の定期健診時のクリーニングできれいに除去しましょう。

生活習慣によって歯周病のリスクが増すのかに関するQ&A

歯周病のリスクを増す生活習慣は何ですか?

歯周病のリスクを増す生活習慣には、歯磨きの怠慢、喫煙、ストレスや疲労の蓄積が含まれます。これらの要因は歯周病の発症に影響を与える可能性があります。

喫煙と歯周病の関係は何ですか?

喫煙は歯周病のリスクを高める要因の一つです。喫煙者は非喫煙者よりも細菌に対する抵抗力が弱まります。また、タバコに含まれるニコチンが血管を収縮させ、歯ぐきからの出血を抑えるため、歯周病の初期症状に気づきにくくなる可能性があります。

ストレスや疲労が歯周病に影響を与える理由は何ですか?

ストレスや疲労が歯周病に影響を与える理由は、これらの状態によって免疫力が低下し、細菌に対する抵抗力が弱まるためです。免疫力が低下すると、歯周病菌などの細菌に感染しやすくなります。健康的な生活習慣や十分な睡眠を心がけることで、免疫力を高めることが重要です。

まとめ

歯のキャラクター

歯周病は歯についた歯垢や歯石の中で細菌が増殖することで、その中の特定の細菌によって起こる感染症です。そのため、歯周病を予防するには、歯の表面に歯垢や歯石がついていない状態にすることが重要です。

それ以外の要素としては、糖尿病のような持病を持っている方や、ストレスのために免疫が低下している方などは、歯周病が発症、進行しやすいといえます。

特に近年、糖尿病と歯周病には関係があり、歯周病菌は糖尿病を悪化させるリスク因子になることが様々な研究でわかってきました。歯周病を起こす要因を一つひとつクリアにし、予防していきましょう。

生活習慣が歯周病のリスクを増加させる可能性については、以下の2つの研究が参考になります。

1. 【Kubota et al. (2016)】の研究では、喫煙が歯周病に与える影響を評価しています。この研究は、タバコの煙の凝縮物やニコチンが、マウスモデルの歯周病において歯槽骨の損失を増加させることを示しており、喫煙が歯周組織の破壊を引き起こし、歯周病の不利な臨床経過をもたらすことを強調しています。

2. 【Kibayashi et al. (2007)】による長期研究では、喫煙と歯周病進行の間の関連性、および喫煙が歯周病に関連する唾液バイオマーカーに与える影響を調査しています。この研究では、現在の喫煙が歯周病リスクに最大の影響を与える生活習慣の要因であることが示されており、喫煙が宿主の防御システムを抑制し、歯周病の進行を促進する可能性があることが指摘されています。

これらの研究結果から、喫煙は歯周病のリスクを著しく増加させる主要な生活習慣の要因であり、歯周病の予防および治療において喫煙の影響を考慮することが重要であると結論付けられます。

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