マウスピース矯正インビザラインとワイヤー矯正は、歯列矯正の代表的な装置です。治療を受ける時にどちらを選ぶか迷う方も多いのではないでしょうか。これら2つの装置を比較してご説明します。
目次
インビザライン矯正とワイヤー矯正とは?
矯正治療にはさまざまな方法がありますが、特に人気があるのが「インビザライン矯正」と「ワイヤー矯正」です。これらの矯正治療は、不正咬合や歯並びの問題を解消するためのものですが、それぞれに異なる特徴と利点があります。まず、基本的な特徴について理解しておきましょう。
インビザライン矯正
インビザライン矯正は、透明なマウスピース(アライナー)を使用して歯を徐々に移動させる治療法です。取り外し可能なため、従来の矯正器具に比べて見た目が目立たないのが特徴です。また、アライナーは患者さん一人ひとりに合わせて製作され、段階的に歯を移動させるため、装着感が柔らかいのも利点です。
インビザラインの特徴
インビザラインは、iTeroと呼ばれる口腔内スキャナーで3Dの歯型データを取り、それを利用してソフト上で治療計画を作成します。
インビザラインのマウスピースは治療計画に従って治療開始から治療終了までに使うマウスピースの数を全て一度に作製されて歯科医院に届きます。
インビザラインは歯の表面にレジンでアタッチメントと呼ばれる小さな突起物をつけ、マウスピースと歯をしっかりフィットさせて適切な方向へ力を加えて歯を動かして行きます。
インビザラインは軽度から中重度の歯並びに適用され、マウスピースを10日から2週間ごとに交換し、ゆっくりと歯を動かしていきます。目立ちにくく違和感も少ないため、人気の矯正装置です。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は金属やセラミックで作られたブラケットを歯に固定し、そのブラケットを結んでいるワイヤーを使って歯を移動させる治療法です。伝統的な方法であり、幅広い症例に対応できることから、多くの患者さんが利用しています。
これらの治療法を選ぶ際には、見た目の違いだけでなく、機能や利便性、コストなども重要な要素です。それぞれの治療法の利点と欠点をしっかりと理解して、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
ワイヤー矯正の特徴
ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットと呼ばれる小さな装置を取り付け、ブラケットいワイヤーを通して力をかけて歯を動かす方法です。金属製やセラミック製のブラケットがあり、広く普及している伝統的な方法です。
ブラケットとワイヤーが目立つというデメリットがありましたが、近年ではセラミックのブラケットやホワイトワイヤーを使って、より目立たない矯正装置となりました。
ほぼすべての不正咬合に適用され、歯の位置や向きを微調整しやすいという特徴があります。また、抜歯矯正に向いており、歯を大きく動かすことが出来ます。
メリット
インビザライン矯正のメリットとデメリット
メリット
1. 透明で目立ちにくい
マウスピースは透明で目立たないため、周囲の人に矯正治療中であることがバレません。
2. 取り外し可能
食事や歯磨きの際に自分で外せますので、食事と歯磨きを普段通りに行うことが出来ます。
3. 痛みが少ない
マウスピース矯正ではゆっくりと歯を動かして行くため、ワイヤー矯正と比べて痛みが少ないというメリットがあります。痛みはワイヤー矯正の3分の1ともいわれます。
デメリット
1. 適用範囲が限定されている
重度の不正咬合や骨格の問題で出っ歯や受け口になっている場合は、インビザラインでは満足のいく結果にならない可能性があります。インビザラインはごく軽度の不正咬合に向いています。
2. 長時間の装着が必要
インビザラインは1日22時間以上の装着が必要ですので、毎日の装着時間をきちんと管理しなければなりません。装着時間が少ないと、せっかく動いた歯が後戻りを起こす場合があります。また、装着時間を守らないと治療計画通りに歯が動かず、マウスピースがはまらなくなって作り直しになる場合もあります。
3. マウスピースの洗浄や保管が必要
マウスピースを外してから再装着するまでに、マウスピースをきれいに洗う必要があります。外食などで洗えない場合は、ウエットティッシュで軽く拭いて出来るだけ清潔にしてから再度装着します。
また、マウスピースを外して飲食した後は、歯磨きも行いましょう。外出先で歯が磨けないときは水やマウスウォッシュでうがいをしましょう。
このように、食事や歯磨きについての一定のルールがあります。また、外した時の破損や紛失を防ぐために、マウスピースをケースに入れて保管する必要があります。
ワイヤー矯正のメリット・デメリット
メリット
1. 治療期間が短い
ワイヤー矯正では歯の動くスピードが速いため、抜歯矯正でもマウスピース矯正と比べると早く終わります。
2. 症例数が多い
長年の研究と実績があるため信頼できる治療法です。
3. 適用範囲が広い
インビザラインは軽度な不正咬合に適していますが、ワイヤー矯正は歯のねじれやガタガタ、出っ歯、受け口、開咬などの殆ど全ての不正咬合を治すことが出来、顎のずれにも対応可能です。
デメリット
1. 食事がしにくい
歯にブラケットとワイヤーをつけるため、食べ物が装置に引っかかりやすく、食事がしにくくなります。
2. 歯磨きが難しい
ブラケットやワイヤーは歯に固定されているため、装置にからまった食べ物や歯垢を落とすために、歯磨きが難しくなります。歯ブラシだけでなく歯間ブラシやワンタフトブラシなども使って、歯と装置の境目を丁寧に掃除する必要があります。
3. 口内炎ができやすい
装置が頬の内側などの粘膜を刺激して痛みが出たり、口内炎が起こることがあります。当たっている装置の部分にワックスと呼ばれる保護剤を付けて、粘膜に強く当たらないようにします。
審美性の比較:目立たない矯正を選びたい方へ
審美性、つまり見た目の美しさを重視する方にとって、インビザラインは大きな魅力です。透明なアライナーを使用するため、装着中でもほとんど気づかれません。これに対し、ワイヤー矯正は金属やセラミックのブラケットとワイヤーを歯につけるため、外見が気になる方には不向きかもしれません。
インビザラインが適している方
- 公共の場や職場で外見を重要視する方
- 写真やビデオなどに頻繁に登場する方
ワイヤー矯正が適している方
- 見た目よりも効果を重視する方
- 長期間の治療でも外見の変化を気にしない方
治療期間と効果の比較
治療期間は、矯正方法や患者さんの症例によって大きく異なります。一般的には、インビザラインとワイヤー矯正の治療期間にはあまり大きな差はありませんが、以下の点で違いが見られます。
インビザライン矯正
インビザラインの治療期間は通常12~24ヶ月程度です。しかし、軽度の不正咬合の場合、インビザラインの方が治療が早く終わることがあります。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正も12~24ヶ月程度の治療期間が一般的ですが、複雑な症例では3年以上かかることもあります。歯をしっかりと移動させる力があるため、効果は確実ですが、時間がかかることがあります。
治療期間に関しては、歯の状態や目標によって異なるため、治療開始前に矯正歯科医としっかり相談することが大切です。
生活習慣への影響
矯正治療中の食事や歯磨きは、患者さんの日常生活に大きく影響を与えます。
インビザライン矯正
インビザラインは取り外しが可能なため、食事や歯磨きの際にはアライナーを外すことができます。そのため、食事の際に制限がほとんどなく、通常通りの食生活を送ることが可能です。また、アライナーを外して歯磨きを行うため、口内の清潔さを保ちやすいのも利点です。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正では、ブラケットやワイヤーが常に装着されているため、食事や歯磨きに制約があります。特に硬いものや粘り気のある食べ物は装置に引っかかりやすいため、避ける必要があります。また、歯磨きの際にはブラケット周辺に歯垢が溜まりやすいため、細かい清掃が求められます。
まとめ
インビザライン矯正とワイヤー矯正はどちらも代表的な矯正治療方法ですが、それぞれに独自の利点と欠点があります。
インビザラインは目立たず、取り外し可能で痛みが少ないが、軽度の不正咬合に向いており、長時間の装着とマウスピースの管理が必要です。
一方、ワイヤー矯正は幅広い不正咬合に対応できますが、歯磨きがしにくく、口内炎を起こしやすいというデメリットがあります。最終的にどちらを選択するかは、個々のニーズ、ライフスタイル、歯並びの状態によって異なります。