歯周病

歯周ポケットって何ですか?治療が必要?

歯周ポケットって何ですか?治療が必要?

なんばクローバー歯科 歯科医師 共田 京太

歯周病の進行度の目安の一つとして、歯周ポケットの深さがあります。歯周ポケットについてご説明します。

歯周ポケットとは?

歯周ポケット

歯周ポケットとは、歯と歯茎の間にできる隙間のことで、歯茎が炎症を起こして後退し、歯の根元部分が露出することによって形成されます。この状態は、初期段階では「歯肉炎」と呼ばれる炎症から始まり、適切なケアを怠ると、やがて「歯周炎」と進行していきます。歯周ポケットは、歯周病が進行するにつれて深くなり、結果的に歯を支える骨が溶けてしまうこともあります。

患者さんにとって歯周ポケットがある状態は気付きにくいことが多く、痛みや不快感が少ないため、知らず知らずのうちに進行してしまうことがあります。だからこそ、定期的な健診で歯周ポケットのチェックを受けることが大切です。

歯周ポケットが出来る原因とは?

歯周ポケットが形成される主な原因は、歯垢がたまることです。歯磨きが不十分で汚れがきれいに落ちていないと、食べ物の残りカスや細菌が歯と歯茎の間にたまり、歯垢が形成されます。この歯垢が固まると「歯石」となり、通常の歯磨きでは取り除けなくなります。歯石がそのまま長時間放置されると、歯茎が炎症を起こして歯周ポケットが形成されます。

その他の要因としては、以下のものがあります。

  • 歯磨きがうまく出来ていない
  • 喫煙
  • ストレス
  • 不正咬合(噛み合わせの問題)
  • 遺伝的要素

これらの要因が組み合わさることで、歯周ポケットの形成や悪化が進行します。

歯周ポケットが深くなるリスク

歯周ポケットが深くなると、歯を支える骨が少しずつ減少し、歯がグラグラと揺れ出したり、最悪の場合は抜けてしまう可能性があります。歯周ポケットが3mm以上深くなると、歯周病の治療が必要とされるケースが多くなります。

  • 骨吸収・・歯を支える骨が溶け出し、歯が不安定になります。
  • 歯の揺れ・・歯を支える組織が弱まり、歯がぐらつくようになります。
  • 歯の喪失・・最終的には歯が抜けてしまう危険性があります。
  • 全身への影響・・歯周病が全身に影響を与え、心臓病や糖尿病のリスクが高まるとも言われています。

これらのリスクを防ぐためにも、早期発見と早期治療が重要です。

歯周ポケットが深くなると細菌が増殖する

歯と歯ぐきのすき間や溝は、口の中の菌の良い住処になります。健康な人の歯周ポケットの深さは3ミリ以下で、それ以上の深さになるとその分だけ細菌が多く棲みつくことになります。

歯磨きをサボりがちだったり、生活リズムが悪い人、歯のケアが十分ではない人は、歯ぐきが腫れることがあります。ブヨブヨとした感触になった歯ぐきは要注意です。歯周ポケットが4ミリ以上になると、歯周病菌は骨を溶かし始めます。歯周ポケットはさらに深くなり、細菌の温床となる悪循環が起こります。

健康な人ならば、20代まではほとんどの方が歯周病になることは少ないです。ただし、疲労やストレスを抱えたり、加齢による抵抗力の低下などで、一度骨が溶け始めてしまうと、歯周病の進行スピードは瞬く間に速まるといわれています。

歯周ポケットが深くならないようにするには

日頃から歯周病を予防し、歯周ポケットが深くならないようにするにはどうすれば良いのでしょうか。歯周病にならないためには歯垢がたまらないように、歯と歯茎の間を丁寧にブラッシングすることが大切です。

歯科医院の定期健診ではプロービングと呼ばれる目盛りがついた細い針のような器具でポケットの深さを測り、歯周ポケットや歯ぐきの状態をチェックします。健康な歯の歯周ポケットの深さは2ミリ程度で、3ミリ以上になると歯周病が進行しないように注意することが必要です。

  • 正しい方法で歯磨きを行う・・毎日の歯磨きはもちろん、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、歯と歯茎の間の歯垢をしっかりと取り除くことが大切です。
  • 定期的な健診・・少なくとも半年に一度、歯科医院で健診を受け、歯周ポケットの状態を確認してもらいましょう。
  • 禁煙・・喫煙は歯周病の大きなリスクファクターです。禁煙することで、歯周病のリスクを大幅に減らすことができます。
  • ストレス管理・・ストレスは免疫力を低下させ、歯茎の炎症を悪化させる可能性があります。適度な休息やリラクゼーションが大切です。

これらのケアを徹底することで、歯周ポケットの形成や進行を予防することができます。歯周ポケットは一度形成されると治療が必要になりますが、予防することで健康な歯茎を維持できます。

歯周ポケットの検査と診断方法

歯周ポケットの深さを確認するために、歯科医院では「プロービング」という検査が行われます。歯と歯茎の間に専用の測定器具を挿入し、ポケットの深さを測定します。以下が主な検査の流れです。

  • プロービング深さの測定・・1~3mmが健康な状態で、4mm以上は治療が必要な場合が多いです。
  • レントゲン検査・・骨の状態を確認し、骨吸収があるかどうかを判断します。
  • 歯垢と歯石の評価・・歯垢や歯石がどのくらいついているかを確認します。

これらの検査結果に基づいて、治療の方針が決定されます。

歯周ポケットの治療方法

歯周ポケットが深くなった場合、治療が必要になります。治療方法は、ポケットの深さや進行度によって異なりますが、一般的には次のような方法が取られます。

  • スケーリングとルートプレーニング・・歯垢や歯石を専用の器具で除去し、歯の表面を滑らかにする治療です。
  • 歯周外科手術・・ポケットが深く、通常のスケーリングでは治療が難しい場合、歯周外科手術が行われます。これは、歯茎を切開して歯の根元を清掃し、再び縫合する方法です。
  • 被せ物や詰め物の調整・・噛み合わせや不正咬合が歯周ポケットの原因となっている場合、被せ物や詰め物の調整が行われます。

歯周ポケット内の清掃はプロの専門的なクリーニングが必要

歯周ポケットに棲みついた菌は歯周病を進行させていきますので、出来る限り歯周ポケット内もきれいにしなければなりません。しかし歯みがきで清掃できるのは歯周ポケットの1~2ミリ程度です。それ以上の深さになると歯ブラシの毛先が届きませんので、セルフケアではきれいいすることが出来ません。

ではどうすれば良いのかというと、歯科衛生士が専用の器械を使って歯周ポケット内の歯垢や歯石を除去します。

歯垢を除去しないと古い部分から硬くなり、「歯石」になります。歯石になってしまうと、なかなか日々のブラッシングで取ることは難しいです。歯石は表面が粗くデコボコしているため、さらに菌が付着しやすくなっています。

歯周病を進行させないためには、正しい歯のブラッシング方法と、歯科医院での定期健診とクリーニングが大事です。

まとめ

歯周ポケット

歯と歯茎の間の境目をきれいにするには、歯みがきが大切ですが、デンタルフロスや歯間ブラシも使って出来るだけ歯垢をきれいに落とすようにしましょう。歯垢の除去を徹底して行うことで軽度の歯周病は改善していき、歯周ポケットの深さも浅くなっていきます。それでも落としきれない汚れは歯科医院での定期健診できれいにしてもらいましょう。

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