歯と口の基礎知識

子供の歯と大人の歯の違いは?

子供の歯と大人の歯の違いは?
子供の歯と大人の歯の違いは大きさだけと思っている方は多いでしょうが、それのみではありません。今回は、子供の歯の生え方、大人の歯への生え変わり方などを含めて、大きさ以外の違いを詳しくご紹介いたします。

子供の歯と大人の歯の違いとは

子供の歯と大人の歯の違いは、歯のサイズが大きいか小さいかではありません。歯の構造は同じでも、様々な厚みが違います。子供の歯(乳歯)のエナメル質と象牙質は大人の歯(永久歯)の半分しかありません。また、子供の歯と歯の間が空いており、大人の歯が生えてくる際にとても大切な隙間となりますが、歯列に空きがあるため食べかすや歯垢が溜まりやすくなるです。

子供の歯と大人の歯、ほかにも違いはある?

乳歯は永久歯に比べて歯質が柔らかいのが特徴です。同じエナメル質でも永久歯より柔らかいため、永久歯よりも酸に弱いです。そのため、歯垢や食べかすが付着して酸で溶けた子供の歯は、エナメル質や象牙質も薄く神経が未発達な状況もあり、あっという間に虫歯が進行し悪化してしまいます。子供の虫歯の悪化スピードが速いのは乳歯の特徴によるものです。

子供の歯の生え方

子供の歯の生え方についてご案内します。

1.胎児の時に歯胚を形成

まず、生まれる前の胎児の初期に乳歯の卵である歯胚(しはい)が歯茎の中で形成されます。その後、永久歯の卵である歯胚も歯茎の中で形成されます。

2.乳歯の時に乳歯が萌出

生後半年を過ぎたころから、下顎の真ん中に歯が萌出(ほうしゅつ)します。

  1. 下顎の真ん中の前歯(乳中切歯)
  2. 上顎の真ん中の前歯(乳中切歯)
  3. 上下顎の乳切歯
  4. 上下顎の奥歯になる第一乳臼歯
  5. 上下顎の乳犬歯
  6. 上下顎の第二乳臼歯

個人差はありますがおおよそ2歳半頃までにこのような順番で20本の乳歯が生え揃います。

大人の歯への生え変わり方


6歳くらいになると、乳歯の奥に奥歯が生えてきます。一般的に6歳臼歯と呼ばれる歯で、食べ物をすりつぶす際に重要な意味を持ちます。それから乳歯が抜けて永久歯へ生え変わる混合歯列期に入ります。

永久歯へ生え変わる過程

乳歯の下で永久歯の歯胚が育っていき、萌出のタイミングになれば乳歯の歯根を溶かします。歯根が溶けグラグラした乳歯が抜けた後、歯肉から永久歯が萌出するということを行っていき、全て永久歯へと生え変わります。大人の歯は合計28本生えてきますが、それより本数が少ないという方は、先天性欠如という状態で、歯が足りない形成異常と考えられます。

子供の歯も大人の歯も大切に

子供の歯はどうせ抜けてしまうからとセルフケアを疎かにしてはいけません。歯髄(しずい)という神経まで侵食したひどい虫歯に乳歯がなると、その下に歯胚の状態でいる永久歯が虫歯にかかりやすくなる可能性があります。また、乳歯は永久歯の萌出位置を誘導するという役割があるため、通常の年齢より早く乳歯が虫歯で抜けると、永久歯がきちんと正しい位置に生えてこなかったり、歯並びが悪化することがあります。

歯を守る為に大事なこと

どの年代でも歯を守る為には、下記の二点は欠かせません。

  • 毎日しっかりと歯磨きを行う
  • 定期的に歯医者さんへ通院し、フッ素塗布で歯質を強化する

そして、子供のみ、大人のみ、それぞれ歯を守る方法があります。

子供の歯の場合

奥歯の溝をシーラント治療で埋めて、歯磨きをしやすくして虫歯リスクを減らす

大人の歯の場合

歯科衛生士から歯のクリーニングを受けて、歯垢や歯石を除去する

子供の歯と大人の歯の違いに関するQ&A

子供の歯と大人の歯の違いは何ですか?

子供の歯(乳歯)と大人の歯(永久歯)の違いは、歯のサイズだけではありません。乳歯はエナメル質と象牙質が永久歯の半分しかなく、柔らかいため酸に弱いです。また、乳歯の歯と歯の間には隙間が多く、食べかすや歯垢がたまりやすいです。これにより、子供の歯は虫歯が進行しやすく、早期に適切なケアが必要です。

子供の歯の生え方はどのようになっていますか?

子供の歯は、胎児の時に歯胚が形成され、生後半年頃から下顎の真ん中の前歯(乳中切歯)が萌出します。その後、上下顎の乳切歯、第一乳臼歯、乳犬歯、第二乳臼歯の順に生え、約2歳半頃までに20本の乳歯が生え揃います。この過程には個人差がありますが、一般的にはこの順番で進行します。

大人の歯への生え変わり方について教えて

大人の歯(永久歯)への生え変わりは、6歳頃に始まります。まず、乳歯の奥に6歳臼歯が生えてきます。次に、乳歯の下で永久歯の歯胚が育ち、乳歯の歯根が溶けて乳歯が抜け、永久歯が萌出します。このプロセスを繰り返し、最終的に合計28本の永久歯が生え揃います。ただし、先天性欠如により歯の本数が少ない場合もあります。

まとめ


子供の歯と大人の歯の違いは、象牙質やエナメル質が少ないということ以外に、歯質が柔らかく、歯と歯の間に隙間があります。乳歯だから抜けるし大丈夫と歯磨きを行わないと永久歯への悪影響が考えられます。セルフケアをしっかりと行い、定期健診で歯の健康を保ちましょう。

子供の歯と大人の歯の違いについて、以下の2つの研究が有益な情報を提供します。

1. 永久歯における虫歯の国際比較

永久歯における子供と大人の間での虫歯(DMFT指数)レベルの比較を行った研究です。この分析は、世界保健機関(WHO)の指標年齢に対する様々な国からの公表報告に基づいています。結果から、すべての26の国で大人の方が子供よりもはるかに高い虫歯レベルが観察されました。多くの国で、12歳の子供と35歳から44歳の大人の間でのDMFTレベルの差は500%以上であり、相対差は5倍以上であることが示されています【Bernabé & Sheiham, 2014

2. 子供と大人の解剖学的差異

子供の歯と大人の歯の違いについて、以下の2つの研究が有益な情報を提供乳幼児期と幼児期に特に顕著な子供と大人の解剖学的差異について記述したレビューです。学齢期になると、これらの差異は徐々に減少し始め、18歳に達すると、子供は大人と同じ特性を持つようになります。主な差異には、皮膚、皮下組織、体内の水分の総量、薬物応用における筋肉の選択、外耳の構造、耳管、眼の解剖学、骨格構造、脊髄と脳、呼吸器系、消化器官、心血管系、尿路系が含まれます。特に子供と大人の脳構造の差異は顕著であり、子供の脳組織はより敏感で、頭蓋骨は薄く、クモ膜下腔は狭いです【Kosif & Keçialan, 2020

子供の歯と大人の歯の違いについて、以下の2つの研究が有益な情報を提供これらの研究により、子供の歯と大人の歯には解剖学的および発達的な差異があり、これらの違いが歯科治療アプローチにどのように影響を与えるかを理解することが重要であることが示されています。

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