矯正治療は子供時代に行うものというイメージがありますが、中学、高校の6年間は歯の矯正を始めるのに適しているのかどうかについてご説明します。
中学生で始める矯正治療
中学生になると、通常は全ての歯が乳歯から永久歯に生え変わっています。ちょうど成長期にあたり、身体全体の細胞の新陳代謝が活発に行われますので、歯が移動しやすく、出っ歯やガタガタなどを矯正して治すにはちょうど良いタイミングです。
また、中学生くらいまでのお子さんは順応力が高いために矯正装置にもすぐに慣れることが出来、矯正治療がスムーズに進むことが期待できます。
中学生は勉強や部活や塾が忙しい毎日になりますが、中学までは比較的家から近くの学校に通うお子さんが多く、転居も比較的少ないため、同じ歯科医院に矯正治療のために通院しやすいのではないでしょうか。
また、中学生は思春期の入り口にあたりますので、不正咬合によって他人から自分がどのように見えるのかが気になってくる年令です。歯並びにコンプレックスを持っているお子さんにとっては、中学生くらいから矯正治療を始めるのは、矯正治療を続けるモチベーションの点でも最適といえます。
高学生で始める矯正治療
高校生はお子さんの成長が殆ど終了して身体が出来上がる年齢です。大人の骨格になると同時に、矯正治療も小児矯正ではなく、大人の矯正と同じ内容になります。
しかし骨や口腔組織は大人と比べると柔らかく弾力性があり、新陳代謝も活発ですので、矯正治療で歯が良く動きます。
また、そろそろ親知らずが生えてくる年令ですので、歯並びに親知らずの影響が出始めます。親知らずに押されることで歯列が乱れ、少しガタガタしてくるというものです。場合によっては親知らずの抜歯が必要になるケースもあります。
高校生になると、中学生の時以上に見た目が気になったり、異性の目が気になったりするものです。少しでも歯並びに気になる部分があるとコンプレックスにつながることがありますので、歯科医院にご相談ください。
中学~高校生の矯正治療で使う装置の種類
中学生、高校生の矯正治療は基本的には大人の矯正と同じ装置になり、装置の種類としてはワイヤー矯正、裏側矯正、マウスピース矯正があります。
小学生の時に矯正治療をしていなくて八重歯のあるお子さんなどは、抜歯矯正が必要になるかもしれません。抜歯を伴う治療の場合は、ワイヤー矯正が早く歯が動き、治療期間が短くなる傾向があります。
マウスピース矯正装置は透明で目立たないことと、自分で着脱出来ることが人気の理由ですが、大きく歯を動かさなくてはならない場合は治療期間が長くなります。
まと、どの矯正装置を使っても、治療後はリテーナーと呼ばれる保定装置をつける必要があります。リテーナーにも種類があり、不正咬合の種類によってどのリテーナーを使うかある程度決まってきます。
中学~高校生の矯正治療の注意点
中学~高校生の時期は矯正治療に適していますが、クラブ活動や塾通いの為になかなか通院が難しいことも考えられます。
激しく身体がぶつかる運動部(サッカー、ラグビー、空手、バスケットなど)や吹奏楽部(口にくわえる楽器を長時間演奏し、歯に力がかかる)に所属した場合、歯が治療計画通りに動かないというリスクがあります。
しかしクラブ活動の為に矯正治療をやめてしまうと、きれいな歯列を作るために歯が動いている途中のガタガタの状態で治療をやめることになりかねません。そのため矯正治療を始める前に、クラブ活動を続けながら矯正治療に月に1回程度通院することが可能かどうかを、しっかりと話し合っておくことも必要です。
中学~高校生の歯列矯正に関するQ&A
中学生は成長期であり、身体の細胞の新陳代謝が活発に行われるため、歯が移動しやすく矯正治療が効果的です。また、順応力が高く、矯正装置にもすぐに慣れることができるため、治療がスムーズに進むことが期待できます。
高校生は成長が殆ど終了しており、大人の矯正と同じ内容になります。しかし、骨や口腔組織は柔らかく、新陳代謝が活発なため、歯がよく動きます。また、親知らずの影響も出始める時期であり、歯並びの乱れやガタガタ感が生じることもあります。
部活動やクラブ活動では身体がぶつかる運動や口に力がかかる楽器演奏などがあり、歯が治療計画通りに動かない可能性があります。治療途中で治療を中断すると歯列が不安定な状態で終わることもあるため、事前に通院の頻度や治療との両立可能性を話し合う必要があります。
まとめ
中学~高校生は永久歯が既に生え揃っており、口腔内組織は新陳代謝が活発なので矯正治療にはとても適した年代です。大人と比べると歯が動きやすいため、不正咬合を治しやすいこともメリットです。また、大人と比べて歯医者への通院の都合もつけやすく、治療を続けやすいということもあります。
部活や勉強が忙しい時期でもありますが、親御さんはお子さんの矯正治療を励まし、きちんと続けられるようにバックアップしてあげることも大切です。