虫歯になりやすい人の特徴というと、甘いものばかり食べているというイメージがあるかもしれません。確かに糖分がお口の中に常にあると虫歯菌が酸を作って歯を溶かしてしまいます。どのような人が虫歯になりやすいのかについてご説明します。
虫歯になりやすい人の特徴
虫歯になりやすい人には、以下のような特徴があります。
口呼吸をしている
口呼吸の癖がある方は、虫歯になりやすいです。それは、日常的に口呼吸をしているとお口の中が乾燥し、唾液がすみずみまで行き渡らなくなるからです。
唾液はお口の中で様々な働きをして虫歯から歯を守ってくれますので、出来るだけ気をつけて鼻呼吸をするようにしましょう。アレルギー性鼻炎などによって口呼吸になってしまう方は、鼻の症状の改善のための治療を行いましょう。
唾液の働き
1.緩衝作用
唾液には食事や虫歯菌によってお口の中が酸性に傾くのを中和してくれる働きがあります。
2.再石灰化作用
お口の中が酸性になると歯のエナメル質からカルシウムやリンが溶け出します。これを脱灰といいます。脱灰は虫歯の一番初期の段階ですが、唾液のもつ再石灰化作用で唾液内に溶け出したカルシウムやリンを歯に戻して溶けた部分を修復します。
3.自浄作用
お口の中に食べカスが残っているとその中で虫歯菌が繁殖しますが、唾液には食べカスを洗い流す自浄作用がありますので、虫歯菌の繁殖を抑制します。
4.抗菌作用
唾液に含まれているリゾチームやペルオキシターゼなどの物質は殺菌、抗菌、抗カビ作用をもっていますので、虫歯菌に対しても抗菌作用を発揮します。
食事や間食の回数が多い
お口の中は通常は中性です。しかし食事や間食後は酸性に傾きます。お口の中が酸性に傾くと、唾液の緩衝作用が働き、それを中性に戻そうとしますが、食事や間食が多いと、酸性になる時間が長くなり、歯が虫歯菌の影響を受けやすくなってしまいます。
更に、唾液には再石灰化作用があり、歯から唾液中に溶け出したカルシウムやリンを歯に戻して修復する働きがあるのですが、お口の中に糖分を含んだ食べ物が頻繁に入って来ると、再石灰化が間に合わなくなり、虫歯になってしまいます。
歯みがきが面倒臭くてサボりがち
夜の歯磨きをサボると、とても虫歯が出来やすい口内環境になります。昼間は唾液がお口の中を潤してくれ、食べかすが歯や歯茎に残らないように洗い流してくれるのですが、夜間は唾液の分泌が減りますので、細菌が繁殖しやすい状態になります。
また、食べカスは24時間程度で歯垢に変わり、更に2日から2週間ほどで歯石になるといわれています。そのため、歯磨きをサボればサボるほど歯垢や歯石がお口の中に出来やすくなり、その中で虫歯菌が増殖して虫歯になるリスクが高まります。
虫歯はどうして出来るの?
虫歯はお口の中のミュータンス菌が原因で発症する感染症です。ミュータンス菌は生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には存在しませんが、成長の途中で家族とスプーンなどの食器を共有することで虫歯菌に感染するケースが多いです。
ミュータンス菌はお口の中に糖分があると、それをエサにして酸を出します。ミュータンス菌の出す酸によって歯が溶かされてしまうのが虫歯という病気です。
お口の中の食べカスが歯と歯の間などに溜まって長時間そのままの状態になると、食べかすの中に細菌が繁殖し、ネバネバした歯垢に変わります。歯垢が出来て更に時間がたつと、今度は硬い歯石に変わります。
歯石の中にも虫歯菌がたくさんいますので、取り除かなければならないのですが、歯石は歯磨きでは取れません。また、歯と歯の間や歯と歯茎の間の溝の部分に溜まった歯垢も、セルフケアではなかなか取りづらいものです。
そのような環境下では、虫歯菌がどんどん増えて歯を溶かし、虫歯を作ってしまいます。
虫歯になりやすい人の特徴に関するQ&A
口呼吸をしているとお口の中が乾燥し、唾液の循環が悪くなります。唾液は虫歯から歯を守る働きがありますが、口呼吸によって唾液が行き渡らなくなるため、虫歯になりやすくなります。
食事や間食をするとお口の中が一時的に酸性になります。この酸性状態では唾液の緩衝作用によって中性に戻そうとしますが、回数が多いと酸性が長く続き、歯が虫歯菌の攻撃を受けやすくなります。また、頻繁な食事や間食によって再石灰化作用が間に合わず、虫歯のリスクが高まります。
歯磨きをサボると夜間にお口の中が乾燥し、細菌が繁殖しやすい状態になります。また、食べかすが歯垢に変わり、時間が経つと歯石になるため、歯垢や歯石の中で虫歯菌が増殖し、虫歯が発生しやすくなります。
まとめ
虫歯になりやすい人の特徴は、口呼吸になっていたり、食事の回数が多い、または歯磨きをサボることが多いということです。これらはお口の中が虫歯になりやすい環境を作りますので、出来る限り避けることが大切です。
歯科医院での定期健診を受けていただくと、虫歯や歯周病予防に繋がりますし、もし発症してもごく初期の段階で発見することが出来ますので、1年に2~4回程度受けていただくことをおすすめします。