子供が歯をぶつけた時の対処法や、注意すべきポイントについてご説明します。
子供が歯をぶつけた時の症状別の処置
子供は元気に走り回るので、ケガをすることが多いです。子供は大人と比べて頭が重くアンバランスために転びやすく、地面や家具などに前歯をぶつけてしまいます。スポーツや遊びで人とぶつかってお口や前歯をぶつけるということも起こりがちです。歯が痛いか・出血しているかなどの症状や、損傷の部分によって対処の方法が異なります。
歯がぐらぐらしている時の対処
子どもが転んで前歯をぶつけた衝撃で、歯がぐらつく動揺が起きます。グラグラする原因は、歯を支える骨(歯槽骨)がダメージを受けたことで、経過観察をしていくうちに、ぐらつきは治まります。日にちが経ってもグラグラが引かない場合は、周囲の歯を固定して、動揺の鎮静化を図ります。
ぶつけたことで生えていた歯の位置がずれているケースも可能性としてあります。放置していると、歯並びの悪さにもつながることが予想されます。他の歯への影響や歯並びも含めて、小児歯科の診療を行っているクリニックへの受診が必要です。
歯が欠けた・折れた時の対処
ぶつけた衝撃で歯が欠けたり折れたりした場合、欠けの範囲が小さければ、歯科用プラスチックのレジン(樹脂)を埋めて歯を修復します。欠けの範囲が大きければ、被せ物を行います。
歯の中にある神経(歯髄)や歯周組織に異常がなければ歯科医師は上記の治療を行うでしょうが、外傷により神経や血管を傷つけた場合は異なります。大きな痛みや歯肉の腫れが出てきますし、神経が死んでいると歯の色が黒く変色する可能性もあります。その際には、神経の治療が必要となります。
歯が抜けた時の対処
ひどく顔や歯をぶつけた場合、歯が抜けるケースがあります。その場合はすぐに歯科医院へ連絡し、一刻も早く受診してください。スタッフに電話で相談する時には「子供の歯が外傷で抜けたので処置してください」と伝えましょう。抜けた歯は汚れがついていれば水でさっと流す程度にして、診療時に歯医者さんへ持参して渡しましょう。
- 抜けた歯はゴシゴシと洗わないこと。乾燥や感染を起こした歯は戻しにくくなる
- 水道水ではなく冷たい牛乳か歯牙保存液に歯を浸して保存する
乳歯でも永久歯でも同じ方法で持参してください。歯の根についている歯根膜は歯とあごの骨をつなぐ大切な組織です。30分以内に処置を行えば、そのまま歯が抜けた部分に戻せることがありますので、早めに医院へ行きましょう。
子供がどこを主にぶつけたかしっかりチェック
交通事故などで激しく頭を打ってしまった場合は、優先順位が変化します。まず、頭や脳に異常がないか、吐き気やめまい等はないかと状態を確認しなければなりません。外傷が激しい場合やぐったりしている場合はすぐに救急車を呼び、脳神経外科など複合的に診療してくれる医療機関で診療を受けましょう。
子供がすぐに泣き止み、顔色に変化がなく、特におかしなところはない場合で、歯の状態が気になるときは、歯科を受診しましょう。
- 全然泣き止まず痛みを訴える場合は救急外来、または脳神経外科を標榜する医療機関を受診する
- 頭をそこまで打っていない場合は小児歯科を標榜している歯科医院へ行く
- 適切な処置を受けた後、24時間お子さんに異常がないか保護者が確認する
子供が歯をぶつけた時の処置に関するQ&A
子供が歯をぶつけた場合は、まず冷やすことが重要です。氷や冷水のパックを使って患部を冷やし、腫れや痛みを軽減させます。出血がある場合は、清潔なガーゼで出血を止めましょう。症状や損傷の程度によっては、歯がぐらぐらしている場合や歯が抜けた場合は専門の歯科医師に受診する必要があります。
歯がぐらぐらしている場合は、まず冷やして腫れを抑えます。その後、経過観察が必要です。通常、数日から数週間でぐらつきが治まりますが、日にちが経ってもぐらつきが引かない場合は、歯科医師に相談しましょう。歯を固定するための装置や周囲の歯を固定することで、ぐらつきを安定させる処置が行われる場合もあります。
歯が欠けた・折れた場合は、欠けた範囲によって処置方法が異なります。小さな欠けであれば、歯科用プラスチックのレジンを使って修復することがあります。範囲が大きい場合は、被せ物を行うことが一般的です。ただし、歯の神経や血管が傷ついている場合は別の治療が必要です。痛みや腫れが強い場合や歯の色が変色している場合は、歯科医師に早めに相談しましょう。
まとめ
子供はけがをしやすいので、手足によく傷を作ってきます。しかし歯の場合は注意が必要です。ぶつけた歯に痛みがあったり欠けたままで放っておくと、毎日の食事で噛んだ時に痛みが出て、食事を嫌がるようになるかもしれません。歯をぶつけた場合はすぐに歯医者さんでチェックしてもらい、必要な場合は治療を受けましょう。
子供が歯をぶつけた時の対応について、文献に基づくポイントは以下の通りです。
1. 緊急対応の重要性
小児や思春期の患者における歯の外傷治療は、外科的、矯正的、修復的、補綴的な対応が必要となり、定期的なチェックアップが不可欠です。適切な治療の遅延が治療効果に影響する可能性があるため、早期対応が重要です。【A. George, 2004】
2. 外傷の種類と治療
歯の外傷は公衆衛生上の問題であり、経済的生産性や生活の質に影響を与えます。小児や若年成人に最も頻繁に発生し、乳歯では脱臼が、永久歯では冠の骨折が一般的です。これらの傾向はあるものの、研究間でかなりの変動があります。研究方法に一貫性を持たせることで、研究の質の向上と予後の予測のためのより良い基盤が形成されます。【R. Lam, 2016】
子供が歯をぶつけた際には、以下のポイントに注意してください。
・即時の対応
被害歯を清潔に保ち、可能であれば冷やして痛みを和らげます。重度の場合や歯が動いている、または抜けてしまった場合は直ちに歯科医を受診してください。
・早期受診
歯科医による早期診断と治療計画の立案が、良好な治療結果を保証します。特に永久歯の場合は、将来的な歯の位置や咬合に影響を与える可能性があるため、迅速な対応が求められます。
・定期的なフォローアップ
歯の外傷後は、定期的なフォローアップが必要です。治療後の経過観察を怠ると、後から問題が発生する可能性があります。
子供が歯をぶつけた場合の対応は、状況に応じて異なりますが、これらの基本的なポイントを押さえておくことで、適切な対応が可能になります。