結婚式までに歯を矯正して歯並びをきれいにしたいというご希望はよく見かけます。結婚式に間に合うように矯正治療を行うことが可能かどうかについてご説明します。
目次
部分矯正で気になる部分だけを治すなら結婚式までに治療可能
歯の矯正が結婚式に間に合うかどうかは、どの程度の不正咬合化によります。
部分矯正で治療が可能なのは、前歯にほんの僅かな出っ歯や重なり、ガタガタがみられる場合です。
重度の出っ歯や歯の重なりの大きい叢生(ガタガタ)、八重歯が大きく飛び出ている場合等は、部分矯正では治りません。
部分矯正で治るかどうかは、歯科で矯正のカウンセリングを受け、レントゲン撮影などの検査結果によって決まります。
部分矯正で治療できる不正咬合とは?
部分矯正の治療期間は平均すると数ヶ月~1年程度で、不正咬合の度合いによります。ごく軽い不正咬合の場合は2ヶ月程度で治る場合もあります。
部分矯正で治療可能な不正咬合は主に以下のようなものです。
1. 前歯1本だけが気になる
前歯1本だけが捻じれている場合や、一ヶ所だけ歯が重なっている、ガタガタになっている場合には、なるべく周囲の歯を動かさないで部分矯正で治療できる場合があります。
2. 軽度の出っ歯
前歯が僅かに前突している場合は、前歯をどの程度引っ込める必要があるかで、部分矯正が可能かどうかが決まります。
3. すきっ歯
前歯の間に隙間がある場合で、歯と歯の間の隙間が大きすぎない場合は、部分矯正で歯を動かしてすき間を埋めることが出来ます。
部分矯正と全体矯正はどう違うの?
部分矯正と全体矯正では、治療出来る歯の範囲が違います。また、部分矯正では重度の不正咬合を治療することが出来ません。
部分矯正 | 全体矯正 | |
メリット | ・気になる前歯だけを矯正する ・治療期間が短い ・費用を抑えられる |
・歯列全体を治療できる ・殆どの症例に対応出来る ・噛み合わせも治すことが出来る |
デメリット | ・基本的には前歯しか矯正出来ない ・噛み合わせの治療は出来ない ・重度の不正咬合には対応出来ない |
・抜歯が必要なケースが多い ・治療期間が長い ・費用が高額になる |
治療可能な不正咬合 | ・軽度の出っ歯 ・軽度の叢生(ガタガタ) ・軽度の受け口 ・すきっ歯 |
・出っ歯 ・叢生(ガタガタ) ・八重歯 ・受け口 ・開咬 |
治療期間 | ・数ヶ月~1年程度 | 2年~3年程度 |
矯正治療中であっても結婚式当日に装置を外せるのか?
結婚式までに治療が追わなかった場合でも、結婚式の時だけ歯から矯正装置を外すことも可能です。矯正装置別にご説明します。
1.マウスピース矯正
結婚式の日には1日程度ならばマウスピースを外すことが可能ですが、出来るだけ外す時間を短くし、結婚式や写真撮影が終われば、マウスピースを速やかに再装着することが望ましいです。
マウスピース矯正は食事と歯磨きの時にはマウスピースを外して行うことが出来ます。本来、1日22時間以上の装着が必要で、それよりも装着時間が短くなると歯列が後戻りを起こすことがあります。
マウスピースを再装着した際に、きちんと歯にはまらなかったり、違和感や痛みが大きい場合は、担当医にご連絡下さい。
2. ワイヤー矯正
ワイヤー矯正の場合、歯に装着したブラケットとワイヤーは患者さん自身では外せません。そのため、結婚式の前に来院して矯正装置を外す処置を受ける必要があります。
歯からブラケットとワイヤーを一旦全て外して、数日後に再び付けなおすという流れになります。矯正装置を一時的に外し、付けなおす場合は別途費用がかかります。
3. 裏側矯正
裏側矯正はワイヤーとブラケットを歯の裏側につけますので、つけたままでも結婚式にはあまり影響はないと思われます。そのため、つけたままで結婚式を迎えられても良いのですが、一旦外したいと希望される場合はワイヤー矯正と同じく、一時的に装置を外して再度付けなおすことも可能です。この場合は別途費用がかかります。
結婚式に間に合うように歯並びを治したいに関するQ&A
結婚式に間に合わせるための部分矯正は、軽度の不正咬合に限定されます。具体的には、前歯1本のみが気になるケース、軽度の出っ歯、またはすきっ歯などが該当します。これらの症例では、治療期間が数ヶ月から1年程度と短く、結婚式に間に合う可能性が高いです。しかし、重度の出っ歯や歯の重なり、大きく飛び出ている八重歯などは部分矯正では治療が難しく、全体矯正が必要になります。具体的な治療計画は、歯科医によるカウンセリングと検査結果に基づいて決定されます。
結婚式当日に矯正装置を外すことは可能ですが、矯正方法によって異なります。マウスピース矯正(例:インビザライン)の場合、結婚式や写真撮影のために一日程度装置を外すことは可能ですが、早めに再装着することが望ましいです。ワイヤー矯正の場合、患者自身では装置を外せないため、結婚式前に一時的に装置を外す処置が必要ですが、この場合、別途費用が発生します。裏側矯正(例:インコグニト)も同様に、一時的に装置を外して再度付けることが可能ですが、費用がかかることに注意が必要です。
部分矯正の治療期間は、不正咬合の度合いによって異なりますが、平均して数ヶ月から1年程度です。ごく軽い不正咬合の場合、治療期間は2ヶ月程度で完了することもあります。しかし、治療期間は個々の症例の特性や歯の動きに応じて変わるため、正確な期間は歯科医による詳細な診断後に決定されます。矯正治療は個人差が大きいため、一般的な期間よりも長くかかることもあります。
まとめ
歯の矯正を結婚式に間に合わせたい場合は、不正咬合の程度によって可能性が異なります。
軽度の不正咬合であれば、部分矯正で数ヶ月から1年程度で治療できる可能性があります。しかし、重度の不正咬合の場合は部分矯正では対応が難しく、全体矯正が必要になります。
もし結婚式までに治療が完了しない場合でも、特別な日のために矯正装置を一時的に外すことも可能です。最終的には歯科医とのカウンセリングを通じて、最適な治療方法を選択することが大切です。
歯列矯正治療の時間を短縮する方法に関する最新の研究を紹介します。
1. 低強度パルス超音波(LIPUS)とマウスピースの使用
Kaurらによる2020年の研究では、低強度パルス超音波(LIPUS)とInvisalignアライナーを使用することで、歯列矯正治療期間を平均49%短縮できることが示されています。このアプローチは患者の自宅での使用に適しており、特に成人患者にとって効果的です。【Kaur & El-Bialy, 2020】
2. フォトバイオモジュレーション(PBM)の利用
Memèらの2022年の研究は、PBMを使用することで成人患者の歯列矯正治療時間を平均57.5週間短縮できることを示しています。PBMは非侵襲的な技術で、患者のコンプライアンスを高めることができます。【Memè et al., 2022】
これらの研究結果は、矯正治療時間の短縮を望む患者にとって有益な情報を提供します。特に大人の患者にとって、治療期間を短縮するこれらの方法は、治療への動機づけを高め、結婚式などの特別なイベントに間に合わせるための選択肢となり得ます。