歯と口のトラブル

親知らずで歯茎がめくれるの?

親知らずで歯茎がめくれるの? 親知らずの周囲の歯茎がめくれるのがお悩みという方もおられるかもしれません。どのような時にそうなるのか、歯茎がめくれる原因や放置するリスク、痛みへの対処法も併せてご紹介いたします。

親知らずとは?

親知らずは最後に生えてくる大臼歯で智歯(ちし)とも呼び、10代後半から20代前半頃に生えてきます。永久歯の生え変わり期ではなく、もう永久歯が並びきった時期に生えてくるため、正常に生えるケースは少ないです。横向きや斜めに生えることが一般的で、その結果、周囲の歯や歯茎に悪影響(痛みや腫れ)を引き起こしやすいです。また半分ではなく、歯茎の中に歯はあっても出てこないというケースもあります。

親知らずの歯茎がめくれる原因

親知らずの周りの歯茎がめくれる原因として最も多いのが智歯周囲炎です。

智歯周囲炎でめくれる

智歯周囲炎とは、文字通り親知らずが原因となって起こる歯肉や歯周組織の炎症です。生えかけの親知らずは歯肉が一部被っている状態になり、親知らずに沿って盛り上がった歯茎はめくれやすく、隙間に食べ物のカスや細菌が溜まりやすくなります。その結果、炎症を引き起こして歯茎が腫れたり、痛みを感じたり悪化することがあります​。

親知らずの抜歯でめくれる

親知らずが生える時のみ歯茎がめくれるというものではありません。歯茎を切開して親知らずを抜いた後、歯茎を縫合し、一週間後くらいに抜歯します。歯を抜いた部分には血餅と呼ばれる血のかさぶたのようなものができます。血餅ができたことにより歯茎がめくれる可能性はあります。

歯茎がめくれる際の症状やリスク

親知らずが原因で歯茎がめくれると、以下のような症状が現れることがあります。
  • 歯茎の腫れ
  • 強い痛み
  • 患部の赤みや膿
  • 口臭

歯茎がめくれたことで起きるリスク

歯茎がめくれたまま放置すると、細菌がさらに繁殖し、炎症が広がって歯周病になるリスクが高まります。特に、親知らずが斜めに生えている場合、歯周ポケットが深くなりやすく、清潔に保つのが難しいため、虫歯や歯周病の進行を促してしまうことがあります。歯茎がめくれていて、腫れや痛み、口臭などの自覚症状が出た場合は早めに歯科医院で診断を受けましょう。

歯茎がめくれたときの自宅での対処法

歯茎のめくれが気になるけど、自宅でなにか対処できないかという場合は下記の方法を試しましょう。

自宅で冷やす際のポイント

痛みを和らげるために冷却したタオルで患部を冷やす方法は効果的です。ただし、患部に直接氷を接触させたり、保冷剤を入れることは絶対に行ってはいけません。強い刺激になり、痛みが増す場合があります。

市販の鎮痛薬服用のポイント

市販の鎮痛薬は、医院で処方される鎮痛剤と異なり、成分量や効き目がゆるやかに作られています。多く飲めば効くわけではありませんので、必ず説明書に書いてある通りの用法や用量を守りましょう。

食事メニューへのポイント

香辛料の多い食事メニューではなく、刺激の少ない食事にしましょう。また、固くしっかり噛まないと飲み込めないものではなく、柔らかい食べ物にするとめくれた部分への負担は少ないです。

歯茎がめくれたときの歯科医院での対処法

症状が軽度であれば、歯科での消毒や鎮痛剤の処方だけで回復することもありますが、智歯周囲炎と診断された場合、下記のようなことになります。

智歯周囲炎になっていた場合の歯科治療

智歯周囲炎になっていた場合は、下記のような治療を行います。

智歯周囲炎の治療の流れ

歯周ポケットが出来ている部分をスケーラーで洗浄します。膿が出ているのが初期段階であれば洗浄後に抗生剤を投与して様子を見ますが、進行している場合は歯茎の一部を切開して膿を出すなども行う可能性があります。自宅でも抗生剤を服用してもらって炎症を抑えられれば良いですが、智歯周囲炎は智歯が原因である場合、何回か繰り返すことが多いです。同じ部分で智歯周囲炎を繰り返している患者さんには、親知らずの抜歯を歯科医師よりすすめられることがあります。

智歯周囲炎は放置するとどうなる

智歯周囲炎はこのような流れで重症化します。
  1. 歯茎が腫れて痛みを感じたり、膿が出てくる
  2. 広く腫れて口が開きにくく、食べ物が飲み込みづらい
  3. 熱がでたり、倦怠感がある
  4. 蜂窩織炎(ほうかしきえん)になる
放置すれば重症化し、蜂窩織炎になってしまいます。蜂窩織炎は、皮膚やその下にある組織が細菌感染を起こしている状態です。頬や舌下、下顎や首などに組織を伝って広がりを起こす可能性があり、発熱も併発すれば入院治療になるケースがあります。必ず智歯周囲炎の症状(めくれや痛み)が気になる段階で、歯科医院へ通院し、対処してもらいましょう。

親知らずによる歯茎のめくれを防ぐためには

親知らずのトラブルを予防するためには、日常的な口腔ケアがでリスクを減らせます。

丁寧な歯磨き

特に親知らずなどの奥歯は磨き残しが多くなります。就寝中は唾液の分泌量が少ないため、歯垢や食べかすが残っているとどうしても虫歯や歯周病などの細菌感染が進行しがちです。歯ブラシ以外に、デンタルフロスや歯間ブラシ、タフトブラシを使ったケアを寝る前に行って清潔に保ちましょう。​

定期的な歯科検診

親知らずはもちろん、他の歯や歯肉の健康状態を確認して、問題がないか早期に診断してもらうことが重要です。

バランスの取れた生活習慣

免疫力の低下も一因となりますので、疲れやストレスが炎症を悪化させることもあります​。免疫力の低下を防ぐためには、十分な睡眠と栄養のある食事を摂ることを心掛けましょう。

まとめ

親知らずの周囲の歯茎がめくれる場合、これらの予防策や治療法を理解し、日常的なケアを徹底すると、トラブルを未然に防ぐことができます。親知らず周辺に痛みや腫れがあるならば、早めに歯科を受診することをおすすめします​。

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