インプラント

インプラント治療のリスクと対策について

インプラント治療のリスクと対策について
インプラント治療は、失った歯を補う優れた方法として広く認知されています。しかし、外科的手術が必要ですので、いくつかのリスクが存在します。インプラント治療に関連する主なリスクとその対策についてご説明します。

手術時の神経や血管の損傷

インプラント手術では、顎の骨に人工歯根を埋め込む際、周囲の神経や血管を傷つける可能性があります。特に下顎では、下歯槽神経という大切な神経が通っており、これを傷つけると麻痺や感覚異常を引き起こすことがあります。

対策

  • 事前の詳細な検査・・CTスキャンなどを使用して、神経や血管の位置を正確に把握します。
  • 適切な手術計画・・得られた情報を基に、安全な位置にインプラントを埋入する計画を立てます。

インプラント周囲炎

インプラントは虫歯にはなりませんが、歯周病に似た「インプラント周囲炎」を発症することがあります。これは、インプラント周囲の組織に炎症が生じ、進行すると顎の骨が溶け、最終的にはインプラントが脱落する可能性があります。

対策

  • 毎日のデンタルケア・・歯磨きやフロスを使用して、インプラント周囲の歯垢を丁寧に除去します。
  • 定期的な健診・・歯科医院で定期的にメンテナンスやクリーニングを受け、早期発見・早期治療を心がけます。

インプラントと骨が結合しない

インプラントは、チタン製の人工歯根と顎の骨が結合することで安定します。しかし、何らかの理由でこの結合がうまくいかない場合、インプラントが定着せず、再手術が必要になることがあります。

対策

  • 適切な手術技術・・骨を削る際にドリルの速度をコントロールしたり、注水による冷却を適切に行って、骨の火傷を防ぎます。
  • 術後のケア・・手術後は過度な力をかけず、感染予防のための抗生物質を使用します。

骨の不足による治療困難

インプラントを埋入するためには、十分な骨の厚みと高さが必要です。これが不足していると、インプラント治療が難しくなることがあります。

対策

  • 事前の骨評価・・歯科用CTを使用して、骨の状態を三次元的に評価します。
  • 骨造成手術・・骨が不足している場合、人工骨や自家骨を移植して骨量を増やす処置を行います。

審美的な問題

前歯のインプラント治療では、歯茎の位置や形によって、見た目に影響が出ることがあります。特に、歯茎が下がっている場合、インプラントが長く見えてしまうことがあります。

対策

  • 歯肉の移植・・歯茎のボリュームを増やすために、歯肉の移植手術を行います。
  • 骨造成・・骨のボリュームを増やすことで、審美性を高めます。

老後のケアの難しさ

高齢になり、介護が必要になった際、インプラントのケアが難しくなることがあります。取り外しができないため、清掃が困難になり、介護者の負担が増える可能性があります。

対策

  • インプラントオーバーデンチャーの活用・・数本のインプラントで入れ歯を固定する方法で、取り外しが可能なため、きれいに洗うことが出来ます。

金属アレルギーのリスク

インプラントに使用されるチタンやチタン合金に対して、稀にアレルギー反応を示す方がおられます。

対策

  • 事前のアレルギー検査・・パッチテストなどで金属アレルギーの有無を確認します。
  • 適切な素材の選択・・アレルギーが確認された場合、他の素材を検討します。

治療費用の負担

インプラント治療は高額になる傾向があり、治療内容や地域によっては数十万円から数百万円の費用がかかることもあります。この費用が、患者さんにとって心理的・経済的な負担となることがあります。

対策

  • 治療計画の明確化・・治療を始める前に、費用の詳細や分割払いなどの支払い方法についてしっかり確認する。
  • 医療費控除の活用・・インプラント治療費は医療費控除の対象となる場合が多いため、確定申告を利用して還付金をもらい、負担を軽減する。
  • 保険外治療の補助・・民間のデンタル保険やインプラント保証制度を活用してリスクを分散する。

インプラントの破損や脱落のリスク

インプラントは非常に耐久性の高い素材でできていますが、極端な力が加わることや、長期間にわたる使用によって破損や脱落が起こることがあります。また、噛み合わせの不具合が原因で問題が生じることもあります。

対策

  • 定期的なメンテナンス・・インプラントの状態を歯科医院で定期的にチェックし、必要に応じて調整や修理を行う。
  • 適切な噛み合わせの調整・・治療後も噛み合わせを継続的にチェックし、不正咬合を予防する。
  • 咬耗の予防・・ナイトガード(マウスピース)を装着し、就寝中の歯ぎしりや噛み締めを防ぐ。

心理的な不安

インプラント治療に対して、手術そのものへの恐怖や、治療がうまくいくかどうかの不安を抱える患者さんも少なくありません。こうした心理的な負担は、治療中のストレスや術後の満足度にも影響を与える可能性があります。

対策

  • 十分なカウンセリング・・手術前に治療内容を詳しく説明し、患者さんの不安や疑問を解消する。
  • 手術中に静脈内鎮静法を使う・・インプラントの手術は局部麻酔で行いますが、不安の大きい患者さんに対しては静脈内鎮静法という点滴による麻酔を追加し、うたた寝状態で手術を受けていただくことが出来ます。

まとめ

インプラント治療にはいくつかのリスクが伴いますが、事前の検査と計画、術後のメンテナンスによって、そのリスクを最小限に抑えることができます。また、患者さん自身が治療内容を十分に理解し、日常的なケアを怠らないことが重要です。

インプラント治療を検討している患者さんは、歯科医師とよく相談し、まず安心して治療を受けられる環境を整えることをおすすめします。費用や手術の詳細についても納得がいくまで説明を受け、ご自身に合った治療法を選択をしましょう。

なんばクローバー歯科

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