歯周病

歯肉炎と歯周炎の違いは何ですか?

女性

なんばクローバー歯科 歯科医師 共田 京太

「歯ぐきが腫れているけど歯肉炎?歯周炎?歯周病?」
「歯ぐきに炎症がありますがどうしたらいい?」

歯周病、歯肉炎、歯周炎など似たような言葉ではありますが、それぞれには違いがあります。歯周病の進行と症状についてご説明します。

歯肉炎とは?

歯肉炎は、歯茎の軽度の炎症状態を指し、適切なケアを行わないと歯周炎へと進行する可能性があります。歯肉炎の基本的な情報と、その予防および対処法についてご説明します。

歯肉炎の定義

歯肉炎は、歯垢(歯肉)や歯石の蓄積によって引き起こされる歯茎の炎症です。歯垢は細菌の塊で、これが歯や歯茎に付着すると、細菌が出すガスによって歯周組織に炎症が起こります。

歯肉炎の症状

  • 歯茎の赤み
  • 歯磨き時の出血
  • 歯茎がぶよぶよになって腫れる

歯肉炎の原因

  • 歯磨きが不十分である
  • 喫煙
  • ストレス
  • 栄養不足
  • 糖尿病などの全身疾患

歯肉炎の予防方法

  • 正しい方法で毎日歯磨きする
  • 定期的な歯科健診
  • 健康的な食生活
  • 禁煙

歯肉炎は初期段階であれば、適切なケアにより改善することが可能です。日常生活での予防をしっかりと行い、早期に対処することが重要です。

歯周炎とは?

歯周炎は、歯肉炎が進行し、歯を支える骨まで炎症が及んだ状態を指します。歯周炎に関する基本的な情報と、その影響や予防法についてご紹介します。

歯周炎の定義

歯周炎は、歯茎の炎症が進行し、歯を支える骨(歯槽骨)にダメージを与える深刻な病気です。放置すると、最終的には歯槽骨が歯を支えきれなくなって歯が抜けてしまうことがあります。

歯周炎の症状

  • 歯茎からの出血
  • 歯肉の後退
  • 口臭
  • 噛んだ時の痛みや違和感
  • 歯の揺れ、位置の変化

歯周炎の原因

歯周炎の主な原因は、長期にわたる歯垢と歯石の蓄積によるものです。また、喫煙や糖尿病、遺伝的要因なども歯周炎のリスクを高めます。

歯周炎の予防方法

  • 正しい方法での歯みがきとフロスの使用
  • 定期的な歯科健診(クリーニング)
  • 禁煙と健康的な日常生活

歯周炎は、歯肉炎よりも治療が困難で、進行を止めることはできても、失われた歯茎や骨を元に戻すことは出来ません。そのため、早期発見と予防が大変重要となります。

歯肉炎と歯周炎の主な違い

歯肉炎と歯周炎の主な違いは、その進行度と影響範囲にあります。

炎症の範囲と深刻度

歯肉炎は、歯茎の軽度の炎症であり、正しい方法での歯磨きと定期健診(プロによるクリーニング)で歯茎の状態の改善が見込めます。

一方、歯周炎は、歯茎からさらに深く、歯を支える骨や組織にまで炎症が進行しており、失われた歯周組織は元には戻りません。進行を食い止めることが主な治療目的となります。

治療方法の違い

歯肉炎の治療は主に予防的な措置とプロによるクリーニングが行われます。

対して、歯周炎の治療では、スケーリングやルートプレーニング、場合によっては外科的処置で歯茎に埋まっている歯根部分についた歯垢や歯石の除去を行うことも必要になるケースがあります。

進行速度と回復の見込み

歯肉炎は比較的早期に改善が見込め、適切なケアによって完治させることも可能です。

しかし、歯周炎は進行が早く、一度失われた骨や組織を再生することは非常に難しく、治療の目的は進行の抑制と症状の管理が行われます。

歯周病の進行による呼び名の違い

歯周病の進行

はじめに発症するのが「歯肉炎」で、そのまま放置していると「歯周炎」へと進んでしまいます。

歯肉炎

歯肉炎の段階では、炎症が起きているのは歯茎(歯肉)だけです。歯肉の炎症は適切に対応すれば2週間程で元に戻ります。

歯周炎

歯肉炎の段階で適切な処置ができていないと、炎症は歯を支えている骨にまで波及し
骨が溶け出してしまいます。この段階に達した状態が歯周炎です。

歯周炎は進行度によって、軽度・中度・重度の三段階に分けられます。

軽度歯周炎

炎症が広がり、歯を支える骨(歯槽骨)が溶け始めます。段々と歯茎が下がり歯周ポケットも深く(4㎜程度)なります。ポケットの中に、プラーク(歯垢)や歯石がこびりつき、さらに歯茎が腫れ出します。この状態になると歯磨きでは取れません。

中度歯周炎

さらに歯槽骨が溶けて、歯周ポケットの深さは5~6㎜程になってしまいます。歯根部が露出することで、冷たい物や熱いものが染みたりすることがあります。歯が浮くような感覚があり、歯茎から出血や膿が出てきて、次第に歯がグラグラ動くようになります。

重度歯周炎

歯槽骨がほぼなくなるくらいまで溶けてしまって歯を支えることができず、うまく噛めません。ここまでになると、もう歯が抜ける寸前の状態です。再生療法を行えば、歯を抜かずに済む可能性もありますが、抜歯になるケースも多くなってしまうのがこの状態です。

歯周病はどんな病気?

歯を支える組織(歯周組織)は、歯茎(歯肉)や骨などから構成されています。この組織が歯周病菌に侵されることにより発症する病気が歯周病です。

歯を支える歯周組織が細菌により炎症することで、歯茎に腫れが起こったり進行具合によっては顎の骨を溶かしてしまい、やがては歯を支えられなくなってしまいます。

歯周病は、進行度の違いによって「歯肉炎」「歯周炎」に分類されます。

歯周病の対処法

メンテナンス

歯周病は、進行してもほとんど痛みを伴わないため自覚症状がなく、気付いた時には治療が手遅れになることも少なくない病気です。

特に歯肉炎の初期や歯周炎の軽度であれば、ご自身ではなかなか気づきにくいものです。
歯周病は、早い段階であれば改善することもできます。

すでに、歯周ポケットも深くなり中度の段階にまで症状が進行している場合は、歯周病菌のすみかとなっている汚れや歯石をしっかりと除去することがポイントです。歯科医院で行う専用の器具を使用した治療で改善するまで行います。

歯周病の治療をして状態が改善しても、毎日の汚れをしっかり除去しないとすぐに汚れがついて、歯周病が進行してしまいます。そうならない為にも、毎日の歯磨きで汚れを落とすことが重要です。歯ブラシだけではなく、フロスや歯間ブラシを併用して隙間に残っている汚れを取り除きましょう。

毎日の歯磨きだけでは落としきれない汚れは、定期的に歯科医院へ行ってプロフェッショナルケアをしてもらいましょう。

歯肉炎と歯周炎の違いに関するQ&A

歯肉炎と歯周炎の違いは何ですか?

歯肉炎は歯肉の炎症のみを指し、歯周炎は歯肉炎の炎症が歯を支える骨に波及した状態を指します。歯肉炎は比較的軽度の状態であり、適切なケアによって炎症は2週間程度で改善されます。一方、歯周炎は歯槽骨の溶解など進行した症状を伴います。

軽度歯周炎の症状はどのようなものですか?

軽度歯周炎では、炎症が広がり歯槽骨が溶け始めます。歯茎が下がり、歯周ポケットが深くなります(約4㎜程度)。ポケットの中にはプラーク(歯垢)や歯石がこびりつき、歯茎の腫れも現れます。この状態では歯磨きだけではプラークを取り除くことが難しくなります。

歯周炎が重度になるとどのような状態になりますか?

重度歯周炎では、歯槽骨がほぼ溶けて歯を支えることができず、噛むことが困難になります。歯周ポケットの深さは深く(5~6㎜程度)なり、歯根部が露出し、冷たい物や熱いものに敏感になります。歯が浮き、歯茎から出血や膿が出ることもあり、最終的には歯を抜かなければならない場合もあります。

まとめ

歯のキャラクター

歯周病は、進行度によって「歯肉炎」の初期、「歯周炎」の軽度・中度・重度の4段階に分かれます。

歯周病の治療をした後は、その安定した状態を保つことがとても重要です。歯周病は、歯周病菌による感染症ですので一旦症状が改善しても安心できません。そのためには、毎日のセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアを行っていく必要があります。

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